株式会社ANY

インタビュー

【対談】デザイン改善がもたらした効果とは?社内意識の変化と新しい文化形成

成果/効果について

――今回のWebデザインを含むクリエイティブへの所感をお聞かせください。

藤原様:新しいロゴによる文化形成の面も大きいですが、デザインに関しても見た目が良くなり、コーディングに関しても触りやすく作っていただいたと思います。過去のサイトと比べると、ようやく2000年代が2020年代になったところまで持ってこられたという印象です。それだけでもかなり大きいですね。十何年リニューアルの要望が社内にあったのですが、全く手を付けられていなかったので、弊社では本当に助かっています。ありがとうございます。

――デザインの改善がもたらした効果についてお伺いしたいのですが、目に見える成果はどのようなものがありましたか?

藤原様:今回、エニィさんには学生向けのサイトを主に手掛けていただきまして、約4カ月で、新規登録者数が約10%増、去年の今時点と比べ、実際に使ってくれている人が約5%増加しています。私たちのサイト「はりまっち」のターゲットは学生がメインですが、このサービスは企業からお金をいただいて運営させていただく形になるので、契約企業もおよそ5社、金額で約10%増えています。

――デザイン改善の具体的なポイントについてお伺いします。キャラクラーイラストのペルソナを検討する際は、どのような点に着目されましたか?

藤原様:ペルソナを作るときの基本として、ユーザーのニーズをどれだけ深掘りできるか、言葉に出てこないようなニーズをどれだけ見つけられるかが大事になってくると思います。実際の学生の就活の様子をドキュメンタリーのような感じにしたいという案はありましたが、なかなか問題が実現しませんでした。結果として、作っていただいたイラストは実際にいそうな学生の絵になっていますね。

阿萬:弊社としては今の学生さんに「はりまっち」をいいなと思ってもらい、就職活動という不安な時期の支えになるシンボリックなものがロゴマークやキャラクターを通して伝えられたらと考えて制作に当たりました。「こういう未来もある」というイメージで、最終的にちょっとエモい感じのイラストになりました。

磯崎:そもそもイラストを作ろうという背景には、何があったのでしょうか?

藤原様:過去のサイト「はりまっち24」、「はりまっち23」「はりまっち22」などでもイラストというかキャラクターは使っていました。トップの画像でイベントの案内役などで出ていたのは、実は弊社のスタッフです。ただ、人が入れ替わるたびに、写真を撮り直したり、配置し直したりして非常に手間がかかっていました。また、大手の求人サイトでは芸能人やアニメのキャラクターなどが出演しているところ、社員が出ている弊社のサイトは手作り感が強かった。とはいえ、実際にタレントを起用する予算はないので、イメージキャラクターならばイラストで作ったほうがいいと考えていました。それから、今のような手書き風のイラストは、播磨地域にいる若い学生とマッチしそうだと感じました。

阿萬:播磨地域らしい独自性も出しながら、内輪感がなくて、手作り感を脱却するためには、イラストで、かつ今の学生に共感してもらえるようなイラストが必要だと思いました。

藤原様:それは本当にそのとおりです。

磯崎:イラストに関連してもう一点伺います。ウェブサイトを作るときに最初はロゴを変えずにデザインをご提案しましたが、それを見ていただきながら、やはりロゴもリニューアルするという話を並行して進めていきました。ロゴのリニューアルに踏み切られたポイントは何だったのでしょうか?

藤原様:まずサイトを作り変える、サービスを一から作り直すというところで、「はりまっち」が変わりましたと見てわかるようなものが欲しかったのです。実は、過去のロゴは、社内で特に意味も思いも入れず簡単に作ったものだったので、せっかくならロゴ自体も新しくしたいという思いがありました。それから、もとのロゴが、イラストやデザインとマッチしていないことなど、いくつか要素はありましたが、やはり一番は「変わりました」という意思表示をしたかったのです。

阿萬:社内の方への説明はすごく大変だったのではないでしょうか? 結果的には通りましたが、最初はおそらく反対の人もいらっしゃったでしょう。

藤原様:直接は見ていませんが、あったかもしれません。ただ、その時点では先に上層部に変えるという話を通していたので、具体的にどれに変えるかという話にスムーズに進みました。まだ先の話ですが、会社の外に看板を掲げる予定があり、それも新しいロゴにしようという話が出ています。すでにジャンパーや名刺のロゴは変わりました。会社の外に見せるものに付いているロゴが変わることで、「はりまっち」は変わりましたと示すことができているので、ロゴひとつが全部に関わってきていると感じます。社内の意識が変わったのは、ロゴが変わったことも大きいかもしれないですね。

阿萬:今後、営業さんやサービスを作られる方々、裏方の方も、ロゴマークが架け橋を表しているとか、「はりまっち」のHやMも入っているといったことを理解して、愛着を持ってサービスを一緒に作りながらよくしていこうという思いが集まっていく――そのシンボルになれるようにと思って作ったので、そういう文化が広がっていくといいですね。

藤原様:少なくともそういう文化は作られたのではないでしょうか。ロゴの意味を全員が理解しているとは思いませんが、外部の人に説明するために僕に聞いてくれる人もいるので、やはり意識を持ってくれていると感じます。このロゴはかわいいですし、本当にいいもの作ってもらったと思っています。

――それでは、目に見える成果の一方で、目に見えないけれども感じられている効果はありますか?

藤原様:企業や大学に提案を持っていく営業担当者から、見せやすく紹介しやすくなったと言われます。今回、デザインの部分だけでなく、内部的にも大きく変えた部分があるのと、営業の準備が間に合っていなかった状況があるので、去年よりも動き出しが遅いのかもしれませんが、慣れてきたら、さらに売りやすくなるだろうと考えています。

磯崎:若いユーザーが使いやすいような構成や複製しやすいソースコードなど、次のコンテンツを作る時も作りやすくしているので、効果は今後じわじわと感じていただけるのではないでしょうか。

藤原様:他のデザインやページを修正したり、他サイトを作ったりする時も磯崎さんのやり方を参考にさせていただくことが結構多いので、そういう部分では助かっています。
ただ、今回デザインだけでなく、内部的にも大きく変えることになり、最初に社内の人を説得することには苦労しました。それでも、おかげさまで今の時代は変わらなきゃいけないという意識がすごく強くなったと思います。若い人はもちろん、上の人たちもかなり変わりました。見えない部分の効果では、一番そこが大きかったかもしれません。

提案について

――初回を振り返っていただいて、面談での印象はいかがでしたか?

藤原様:契約する前、エニィさんを含め、何社かご検討させていただいたのですが、最初はスマホアプリを改修したいというのが要件だったのです。他の業者さんと違って、阿萬さんはアプリではなくサービスの根本、ブランディングから考え直したほうがいいということを言われました。こちらの要件が固まってない中で、サービスのレベル、ウェブ、ブランドのロゴといったところや行政との連携など、デザイン以外の部分の話が多かった印象があります。最初はアプリの修正を依頼したのに違う答えが返ってきて困りましたが、私も考える時間があり、そもそもサイト自体を考え直さなければいけないと気づきました。

――エニィへ依頼された決め手は何だったのでしょうか?

藤原様:打ち合わせから1カ月後ぐらいに2回目の打ち合わせをする前には決めていました。1回目の打ち合わせが終わった後も提案のメールを何通もいただいたのです。まだ何もお支払いしていないのに、いろいろアイデアをいただいて、最初からこういう提案をいただいたエニィさんだったら一緒に2人3脚でやれるかもしれないと思いました。エニィさんはコーディングやデザインがメインではなくて、サービスを作る1から作る、作り直すところが強いのだろうという印象で、弊社のやりたいこととも一致していました。

制作について

――エニィは提案をベースとした制作スタイルですが、そのように感じられた具体的なポイントはありますか?

藤原様:最初にサービスから考え直すように言われたことです。もともとはアプリの話をしたかったのに別の提案をされた時は、ちょっと困りましたが、結局、私たちが必要だったのはそれだったわけです。

――エニィは、「Web制作によりビジネスを洗練化する」をミッション、「Webから調和を図る」をビジョンに掲げて活動しております。今回のプロジェクトでは、これらを実感できましたでしょうか? できた場合は具体的なポイントを教えてください。

藤原様:私はウェブのエンジニアなので、作ったら、見やすくしたら、使いやすくしたら売れるでしょうという感覚がありましたし、いまだにその気持ちが残っているかもしれません。しかし、去年1年間の取り組みで、そうではないことを本当に痛感しました。
「はりまっち」のサービス自体は、ウェブサイトなくても成り立つと思っています。ただ、現状ウェブがある程度使いやすさや見やすさの点で優れている。そうなると、弊社のようなサービスサイトでは良い求人情報、良い企業が載っているか、面白い就活イベントが載っているか、わかりやすい情報が載っているか、というコンテンツはもちろんですが、ブランディングの部分も重要になってきます。まずお客さんが「はりまっち」は良さそうだという信頼や信用、期待を持ってくれることが、お客さんをコンテンツへつなげる第一歩ですので、ウェブサイトの作りやデザインは非常に大事だと思います。

今後について

――今後どのように運営を進めていきたいとお考えですか?

藤原様:今回作っていただいたサイトは、今後アップデートしていくつもりです。過去のサイトは「はりまっち23」「はりまっち24」という名称で、23が23年卒業を表しているように、卒業したらサイトを閉めていたのですが、今回から卒業年度をつけずに、新卒サイトを使い続けていく形に変えたので、これをアップデートしていきます。

売上の面でも2倍、3倍を目指して社内でも動いており、サイトの改善とそれによる数字が2倍、3倍と、学生の利用数も増えていくように施策を行っています。このサイトリニューアルをきっかけに1年単位ではなく、5年10年を見据えて頑張っていかなければいけないですね。地元企業とも長期スパンで一緒に考えていけるようなサービスの形に変わったので、今後さらに地元播磨の就職サービスである点を強く打ち出していって、より地元の学生に合った情報提供や、企業と学生の精度の高いマッチングができるよう、信頼の強化や実績につなげていきたいと考えています。

この記事を書いた人

磯崎史弥

WEBの戦術設計や提案を得意とするWEBプランナー。実務のディレクション及び技術面の知識も豊富で、クライアントの意向をWEBプランニングに落とす事ができます。 コーディングや開発は事業スケールを意識した設計を中核にチーム形成まで視野に行うため多くのプロジェクトを成功に導いてきました。 commnet 正解や成功までの道は一つではないと思います。 特定の解法に拘らず、任意のケースにおいて実現可能な道とその先にある結果を提示することで、クライアントの決断を助ける活動をしていきたいと思っています。

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