BtoBマーケティングでもう迷わない!経営目標から逆算する6ステップ
- ホームページをリニューアルしたのに問い合わせが増えない。
- 広告を出しても期待した成果につながらない。
- SEOやSNSなど、次々と施策を実施しているものの、売上が安定しない。
このような悩みを抱えるBtoB企業は少なくありません。
その原因は、施策の良し悪しではなく、マーケティングを施策から考えていることにあります。
本来、マーケティングで最初に考えるべきなのは、「どのような成果を目指し、そのために何をすべきか」という全体設計です。ホームページや広告は、その設計を実現するための手段にすぎません。
ゴールが定まらないまま施策を始めることは、目的地を決めずに船を出航させるようなものです。どれだけ優れた船や乗組員がいても、向かう先が定まっていなければ、最適な航路を選ぶことも目的地にたどり着くこともできません。
成果を出し続ける企業は、まず経営目標を定め、そこから逆算して「① 誰に、どんな価値を届けるのか」「② 営業とマーケティングはどう連携するのか」「③ どの施策を選ぶべきか」を設計しています。
本記事では、BtoBマーケティングを成果につなげるためのゴールから逆算するマーケティング設計の考え方と、実践するための6つのステップを解説します。
ゴールから逆算するBtoBマーケティング設計の全体像
冒頭で触れた「目的地を決めずに船を出航させる」状態から抜け出すには、まず経営目標という目的地を定め、そこから逆算して航路を描く必要があります。
具体的には、経営目標を起点に、以下の順序で設計を進めていきます。
▼ 誰にどんな価値を届けるのか、を明確にする
自社が向き合うべき市場や顧客像を定めなければ、届けるべきメッセージも選ぶべき施策も定まりません。
▼顧客は何を理由に自社を選ぶのか、を理解する
競合と比較されたときに選ばれる理由を言語化できていなければ、どれだけ露出を増やしても成約にはつながりません。
▼営業とマーケティングの役割分担、を整理する
マーケティングが集めたリードを営業がどう引き継ぎ、成果につなげるのか。この連携が曖昧なままでは、施策の成果が売上に結びつきません。
ここまでの設計が固まって初めて、「どの施策を選ぶべきか」を判断できます。ホームページ、広告、SEO、SNSといった手段はあくまでこの設計を実行するための選択肢の一つに過ぎません。
そして最後に、実施した施策の効果を検証し、改善を繰り返す仕組みをつくることで、成果が一過性で終わらず、継続的に積み上がっていく状態を実現します。
つまりBtoBマーケティングとは、
- 経営目標を明確にする
- 誰に選ばれる会社になるのか決める
- 顧客は何を理由に選ぶのか理解する
- 営業とマーケティングの役割を整理する
- 必要な施策を選ぶ
- 改善を繰り返し、仕組みにする
という6つのステップを順に積み上げていく設計作業です。
この順序を飛ばして施策から着手してしまうことこそが、「頑張っているのに成果が出ない」状態を生む最大の要因なのです。次章から、それぞれのステップを具体的に解説していきます。
ステップ① 経営目標を明確にする
BtoBマーケティング設計の出発点は、施策ではなく「経営目標」です。当たり前のことのように思えますが、実際には多くの企業がこのステップを曖昧にしたまま、ホームページ制作や広告出稿に着手してしまいます。
ここで言う経営目標とは、「なんとなく売上を伸ばしたい」といった漠然とした願望ではありません。たとえば以下のように、具体的な数値と期限を伴うものを指します。
- 今期中に売上を〇〇円まで伸ばす
- 新規商談数を月〇件創出する
- 既存顧客からのアップセル比率を〇%高める
- 新規事業の立ち上げに向けて、〇〇業界の顧客基盤を構築する
これらの目標が明確になって初めて、「その目標を達成するために、マーケティングは何をすべきか」を逆算できるようになります。逆に言えば、経営目標が曖昧なままでは、マーケティングの役割そのものが定義できず、施策の良し悪しを判断する基準も持てません。
また、経営目標を明確にする際には、以下の点も併せて整理しておく必要があります。
達成までの時間軸
半年で結果を出す必要があるのか、3年かけて基盤を築くのかによって、選ぶべき施策はまったく異なります。短期的な成果を求めるなら広告やインサイドセールスの強化が有効な場合もありますし、中長期的な資産構築を目指すならSEOやコンテンツマーケティングへの投資が適しています。
マーケティングに求める役割
経営目標の達成手段は、マーケティングだけとは限りません。営業体制の強化、商品開発、価格戦略の見直しなど、複数の選択肢の中でマーケティングにどこまでの役割を期待するのかを、経営層と事前にすり合わせておくことが重要です。
経営目標を明確にすることは、船で言えば目的地の座標を定める作業です。この座標が定まっていなければ、どれだけ優れた施策(船)を選んでも、正しい方向に進んでいるかどうかすら判断できません。
次のステップでは、この経営目標を実現するために「誰に選ばれる会社になるべきか」を具体化していきます。
ステップ② 誰に選ばれる会社になるのか決める
経営目標が定まったら、次に考えるべきは「誰に選ばれる会社になるのか」です。ここが曖昧なままでは、メッセージが誰にも刺さらない、いわゆる「八方美人」なマーケティングに陥ります。
多くのBtoB企業は「幅広い業界・企業規模に対応できます」とアピールしがちですが、「何でもできる」は裏を返せば「誰にとっても一番の選択肢ではない」ということでもあります。
そこで重要になるのが、ターゲットとする顧客像を具体的に絞り込むことです。
業界・企業規模の絞り込み
自社の実績やノウハウが最も強みを発揮できる業界はどこか、対応しやすい企業規模はどのくらいかを整理します。過去の成功事例を振り返り、「どのような顧客に対して、特に高い成果や満足度を提供できているか」を洗い出すことが出発点になります。
意思決定に関わる人物像の特定
BtoBの購買は、現場担当者・部門責任者・決裁者など、複数の関係者が意思決定に関与することがほとんどです。誰が情報収集の起点となり、誰が最終的な決裁権を持つのかを整理することで、届けるべきメッセージの内容や届け方が明確になります。
自社が向き合うべき市場の再定義
経営目標が「新規商談数を月〇件創出する」であれば、既存の顧客基盤だけでその件数を積み上げられるのか、見直しが必要です。既存顧客からの紹介や再商談だけで目標に届かない場合は、これまでリーチできていなかった業界や企業層にも目を向ける必要があります。既存の枠組みの延長線上で考えるのではなく、経営目標に立ち返り、目標達成に必要な市場はどこかという視点で見直すことが大切です。
ここで決めたターゲット像は、この後のステップで、届けるべき価値や訴求メッセージ、選ぶべき施策を判断する土台になります。この土台が定まっていなければ、後続のすべてのステップの精度も下がってしまいます。
誰にでも売れる会社ではなく、「この顧客には絶対に選ばれる会社」を目指すことが、成果につながるBtoBマーケティングの土台となる考え方です。
次のステップでは、このターゲットとなる顧客が、実際に「何を理由に自社を選ぶのか」を掘り下げていきます。
ステップ③ 顧客は何を理由に選ぶのか理解する
ターゲットとする顧客像が定まったら、次に理解すべきは「その顧客が、数ある選択肢の中からなぜ自社を選ぶのか」です。ここを言語化できていなければ、どれだけ露出を増やしても、比較検討の段階で他社に流れてしまいます。
BtoBの購買は、感覚や好みだけで決まるものではありません。多くの場合、複数の関係者が関わり、比較検討を重ねたうえで意思決定に至ります。だからこそ、顧客が何を評価し、何を理由に自社を選んでいるのかを正しく把握することが欠かせません。
過去の受注理由・失注理由を振り返る
まず着手すべきは、実際の商談データの振り返りです。受注に至った案件では、顧客が最終的に何を決め手としたのか。逆に失注した案件では、何が不足していたのか、あるいは競合の何が評価されたのか。営業担当者へのヒアリングや商談記録から、こうした情報を洗い出します。
競合との比較軸を整理する
顧客は多くの場合、複数社を比較したうえで発注先を決めます。価格、実績、対応スピード、専門性、サポート体制など、比較の際にどのような軸で評価されているのかを把握することで、自社が強みとして訴求すべきポイントが見えてきます。
顧客自身も気づいていないニーズを掘り下げる
顧客に直接ヒアリングしても、価格や実績といった表面的な回答しか得られないことがあります。しかし、その裏には「失敗したくない」「社内で説明責任を果たしたい」といった、言語化されにくい本音が隠れていることも少なくありません。商談の背景や、なぜその課題を今解決したいのかといった文脈まで踏み込むことで、より本質的な選定理由が見えてきます。
こうして把握した「選ばれる理由」は、Webサイトのメッセージや広告の訴求内容、営業トークに至るまで、あらゆる顧客接点で一貫して活用すべき土台になります。逆に、この理解が浅いままでは、どれだけ多くの施策を展開しても、顧客の心に響くメッセージにはたどり着けません。
次のステップでは、こうして整理した顧客理解をもとに、営業とマーケティングがどのように役割を分担し、連携していくべきかを解説します。
ステップ④ 営業とマーケティングの役割を整理する
顧客が選ぶ理由を理解できたら、次はその理解を成果につなげるための体制づくりです。ここで重要になるのが、営業とマーケティングの役割分担を整理することです。
BtoB企業では、「マーケティングがリードを集め、営業が受注につなげる」という分業が一般的です。しかし、この2つの部門の役割が曖昧なままでは、せっかく集めたリードが宙に浮いたり、営業が求める質のリードとマーケティングが供給するリードにズレが生じたりします。
リードの受け渡し基準を明確にする
マーケティングが獲得したリードを、どのタイミングで営業に引き継ぐのか。この基準が定まっていないと、「まだ検討段階に至っていない見込み顧客」が営業に渡されて商談化率が下がったり、逆に「今すぐ客」の対応が遅れて機会を逃したりします。資料請求や問い合わせだけでなく、閲覧履歴やメール開封状況といった行動データも踏まえ、どの状態になったら営業対応に切り替えるかを具体的に決めておく必要があります。
KPIを分断させない
マーケティングはリード獲得数、営業は受注件数といったように、部門ごとに異なるKPIを追いがちです。しかし、それぞれが個別最適で動いてしまうと、リード数は増えても受注につながらない、という状況に陥ります。経営目標から逆算し、マーケティングと営業が共通して追うべき指標(商談化数や有効商談率など)を設定することで、両部門が同じゴールに向かって連携できるようになります。
情報共有の仕組みをつくる
営業が商談の中で得た顧客の反応や失注理由は、マーケティング施策を改善するための貴重な情報です。一方で、マーケティングが把握している見込み顧客の検討状況は、営業がアプローチする際の重要な材料になります。定例会議やCRM・SFAといったツールを活用し、双方の情報が自然に行き来する仕組みを整えることが欠かせません。
営業とマーケティングは、本来対立するものではなく、経営目標という同じゴールを目指す一つのチームです。この役割分担が整理されて初めて、次のステップで選ぶ施策が、実際の成果につながる形で機能するようになります。
ステップ⑤ 必要な施策を選ぶ
ここまでのステップで、経営目標、ターゲット、顧客に選ばれる理由、営業とマーケティングの役割分担が整理できました。ようやくこの段階で、ホームページやSEO、広告、SNSといった具体的な施策の検討に入ります。
多くのBtoB企業が最初につまずくのは、この施策の検討を出発点にしてしまうことです。本来、施策はここまでの設計を実現するための手段であり、選ぶべき施策は企業やフェーズによって異なります。
施策は目的に応じて選ぶ
たとえば、経営目標が「短期間での新規商談数の創出」であれば、成果が出るまでのスピードが速いリスティング広告やインサイドセールスの強化が有効な選択肢になります。一方、「中長期的な顧客基盤の構築」が目的であれば、SEOやオウンドメディアを通じたコンテンツマーケティングのように、資産として積み上がっていく施策への投資が適しています。同じ「集客」という目的であっても、時間軸や経営目標によって最適な施策は変わります。
カスタマージャーニーに沿って施策を配置する
顧客は、課題に気づく段階から情報収集、比較検討、意思決定に至るまで、いくつかの段階を経て購買に至ります。ステップ③で整理した「選ばれる理由」を踏まえ、それぞれの段階でどのような情報や後押しが必要かを考え、施策を配置していきます。認知段階ではSNSや広告で接点をつくり、検討段階ではホワイトペーパーや事例コンテンツで比較材料を提供する、といった具合です。
すべてを同時に始めない
経営資源には限りがあります。ステップ①〜④で整理した内容をもとに、優先順位の高い施策から着手し、成果を見ながら段階的に拡張していくことが現実的です。あれもこれもと手を広げてしまうと、どの施策も中途半端になり、結局どれが成果に貢献しているのかも見えなくなってしまいます。
ここで選んだ施策は、あくまで現時点での最適解です。市場の変化や実際の成果次第で見直しが必要になることもあります。次のステップでは、この施策を実行した後、どのように振り返り、改善を仕組み化していくのかを解説します。
ステップ⑥ 改善を繰り返し、仕組みにする
施策を実行した後、多くの企業が見落としがちなのが「振り返りと改善」です。
施策を実施すること自体が目的化してしまい、結果を検証しないまま次の施策に着手してしまうケースは少なくありません。しかし、マーケティングは一度の設計で完成するものではなく、実行と検証を繰り返しながら精度を高めていくものです。
経営目標に紐づく指標で振り返る
施策ごとのPV数やクリック数といった表面的な数値だけを追っていると、実際の経営目標への貢献度が見えなくなります。ステップ①で定めた経営目標や、ステップ④で設定した共通KPIに立ち返り、「この施策は商談化や受注にどれだけ貢献したか」という視点で振り返ることが重要です。
うまくいかなかった要因を分解する
成果が出なかった場合、それが施策の実行方法の問題なのか、そもそもターゲット設定や訴求内容の問題なのかを切り分けて考える必要があります。表面的な数値だけを見て「内容を変えてみよう」と対症療法的に手を加えるのではなく、ステップ②や③で整理したターゲット像や選ばれる理由に立ち返り、設計そのものに見直すべき点がないかを確認します。
振り返りのサイクルを仕組み化する
振り返りが場当たり的に行われていると、改善のスピードも精度も安定しません。月次や四半期ごとに振り返りの機会を定例化し、「何を」「どの指標で」「誰が」確認するのかをあらかじめ決めておくことで、改善が属人化せず、組織的な仕組みとして機能するようになります。
変化に応じて設計自体を見直す
市場環境や競合状況、顧客のニーズは常に変化します。一度定めたターゲットや訴求内容、施策が、時間の経過とともに最適ではなくなることもあります。定期的にステップ①〜⑤の設計そのものを見直す機会を持つことで、変化に取り残されないマーケティング体制を維持できます
改善を繰り返す仕組みを持つ企業は、一つひとつの施策の成功や失敗に一喜一憂することなく、着実に成果を積み上げていくことができます。次章では、こうしたステップを実践し、成果を出し続けているBtoB企業に共通する考え方について解説します。
BtoBマーケティングを成功させる企業に共通する考え方
ここまで、経営目標から逆算してマーケティングを設計する6つのステップを解説してきました。実際にこの考え方を実践し、成果を出し続けている企業には、いくつかの共通点があります。
マーケティングを「経営の一部」として捉えている
成果を出す企業は、マーケティングを単なる集客の手段ではなく、経営目標を達成するための重要な機能として位置づけています。マーケティング担当者だけの取り組みにせず、経営層が目標設定や進捗確認に関与し続けることで、施策と経営目標のズレが生まれにくくなります
部門間の壁を越えて連携している
営業とマーケティングが互いの領域に踏み込まず、それぞれの業務を分担するだけの関係では、顧客理解も施策の精度も高まりません。成果を出す企業は、部門の垣根を越えて情報や課題感を共有し、一つのチームとして顧客と向き合っています。
短期の成果と中長期の資産構築を両立させている
広告のようにすぐに成果が見える施策と、SEOやコンテンツのように時間をかけて資産として積み上がっていく施策。どちらか一方に偏るのではなく、経営目標の時間軸に応じて両者をバランスよく組み合わせています。
「正解」を探すのではなく、検証と修正を前提にしている
市場や顧客のニーズは常に変化するため、最初から完璧な設計を目指す必要はありません。むしろ、小さく実行し、結果を見ながら軌道修正を重ねていく姿勢こそが、変化に対応し続けるための力になります。
これらに共通しているのは、施策そのものではなく、施策を支える「設計」と「体制」に投資しているという点です。目先の効果測定ではなく、経営目標から逆算した一貫性のある取り組みこそが、BtoBマーケティングを長期的な成果へと導きます。
最後に
冒頭で紹介した「ホームページをリニューアルしても問い合わせが増えない」「広告を出しても成果につながらない」といった悩みの多くは、施策そのものの巧拙ではなく、施策に着手する前の設計が抜け落ちていることに原因があります。
経営目標という目的地を定め、そこから「誰に、どんな価値を届けるのか」「営業とマーケティングはどう連携するのか」「どの施策を選ぶべきか」を逆算していく。この順序さえ押さえておけば、施策を実行する前から、進むべき航路は見えてきます。
もちろん、一度設計したからといって、それで完成というわけではありません。市場や顧客は常に変化し続けるため、実行と振り返りを繰り返しながら、設計そのものをアップデートし続けることが欠かせません。
本記事で紹介した6つのステップを、ぜひ自社のマーケティングを見直すきっかけにしていただければ幸いです。もし自社だけでの設計や実行に難しさを感じる場合は、外部の専門家の力を借りることも一つの選択肢です。
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