大小問わずプロジェクトを円滑に進行させるうえでは、各メンバーがそれぞれの役割をまっとうするのはもちろん、全員がワンチームとなることが重要です。
チームがまとまり一枚岩となってプロジェクトを進めるためには、プロジェクトメンバーの中に必ずデザイナーを加えるべきでしょう。
チームにデザイナーが加えるメリットは、ビジュアルが作れることだけではありません。
優れたデザイナーであれば顧客のビジネスを深く理解した設計を行うことで、プロダクトの価値を最大化することにも貢献してくれるはずです。
また、リーダー格としてプロジェクトを牽引させる役割を担うことも十分できるでしょう。
ではプロジェクトを牽引するデザイナーには、どんな特徴があるのでしょうか。
デザインの付加価値がもたらすものとは?
デザイナーをプロジェクトメンバーに加入させる利点を理解するには、「デザインの価値」について正しく理解する必要があります。
デザインはビジュアルを形成することも役割ですが、プロセスを設計してビジネスをサポートすることこそが本質だと言えます。
そうしたデザインの考え方を体系的に整理するのが「デザインシンキング」です。
一般化されている概念を根底から見直し、再設計を試みる際に用いられるマインドセットの1つであるデザインシンキングは、ビジネス全体を考察するうえで役立ちます。
近年ではデザインを構築する場面以外でも、さまざまなシーンでデザインシンキングが応用されています。
デザインシンキングは、上記のように各工程でしっかりとしたプロセスのもと理論立てて考えられている点が特徴です。
デザインを装飾や見た目と認識している場合は、設計の要素を踏まえたうえで認識をアップデートすべきでしょう。
ではプロジェクトにこうしたデザイン思考を取り入れることでどんな付加価値が期待できるのでしょうか。
付加価値1:ユーザービリティ向上
ユーザービリティ(Usability)は「有用性」「使いやすさ」を意味する言葉です。
ISO(国際標準化機構)で1998年に定められた国際規格ISO9241-11では、「プロダクトに対して特定の利用者が、特定の利用状況において、特定の目的を達成するにあたっての有効さ、効率性、ユーザーの満足度の度合い」を示したものだとされています。
デザイン思考を取り入れることで、単なる使いやすさに終始せず、目的や状況、ユーザーに合わせた最適化を図ることにより意識を傾けることができます。
付加価値2:顧客視点獲得
ビジネスをデザイン(設計)するうえで、欠かせないのが「顧客視点」です。
例えば、WEBサイトの制作においても、まずは顧客視点に立って現状の課題を発見することからデザインのプロセスは始まります。
顧客視点で現状を正しく分析する手段としては、「カスタマージャーニーマップ」「ペルソナ」の活用が代表的です。
サイトの集客力を高めるうえでも、顧客視点を踏まえてユーザー心理を深く理解してその身になって考えることは大切な取り組みとなります。
付加価値3:企業価値向上
事業戦略構築やプロダクト開発の上流からデザインが関わることで、「企業価値向上」にも貢献します。
デザインによって多くの人が気づかなかったニーズを掘り起こし、新しい価値や新しい事業の方向性を可視化することが期待できます。
もはやデザインを企業価値向上のための重要な経営資源の1つとして捉えている会社もあるくらいです。
意匠性や見栄えはもちろんのこと、経営にインパクトを与えたり、企業のブランド価値を高めたりするのもデザインの付加価値だと言えるでしょう。
【Pick Up!! 情報処理に終始してはならないプロジェクトマネジメント】
プロジェクトで成功を収めるために全体を管理する「プロジェクトマネジメント」ですが、正しい方向性にメンバーを導くのは決して簡単なことではありません。舵取りがうまくいかないとプロジェクト自体が頓挫してしまうこともあるので、責任は重大です。 プロジェクトが失敗に終わる際の大きな特徴としては、計画が立てられていなかったり、コミュニケーションがまばらだったり、進捗管理がなされてなかったりするなどの要因が挙げられます。これらはリーダーを筆頭にメンバーがプロジェクトにおいて、情報処理に終始していることが考えられるでしょう。論理的・理性的に情報処理を行うことも重要ですが、正解がコモディティ化すると価値創造にはつながりません。情報処理は課題解決のための手段であることを覚えておきましょう。 「いかに改善するか」という課題解決ではなく、「意味のあるビジョン」によって物事の価値は生み出されるのです。そのため、プロジェクトマネジメントではビジョンを作り上げ、メンバー間の意思統一や共通認識を持つことが重要になります。メンバー間の意識や想いが1つになるのは、明確なビジョンがあってこそなのです。
デザイナー主導のプロジェクトは本当に大丈夫?
WEBサイト制作のプロジェクトにおいてビジュアル表現に関してはアートディレクターが、ECサイトなど開発領域に関連する場合はエンジニアが陣頭指揮をとるケースが多いでしょう。
一方でデザイナーは一人のプレーヤーとの認識が一般的であり、プロジェクトを主導で進める姿を想像できない方もいるかもしれません。
しかし、最近では「プロジェクトデザイナー」と呼ばれる存在に注目が集まっています。
プロジェクトデザイナーは、「設計としてのDESIGN」と「意匠としてのdesign」という2つのデザイン領域を担う、いわばシステムエンジニアとデザイナー間の垣根となれる存在です。開発系の話が理解でき、さらにグラフィックに関しても管理できる人物がプロジェクトを主導すれば、メンバーにとってこんなにも心強いことはないでしょう。
デザイン(実証)により、デザイン(実像)を生み出すことができる貴重な存在です。
また、プロジェクト進行の過程で生まれた提案やプロトタイプをすぐに視覚化し、メンバーにイメージとして共有できる点はデザイナー主導ならではの強みと言えます。
エンジニアは技術力に優れていますが、ロジックに凝り固まり、新たな意見を取り入れられない傾向も見られます。
一方で、デザイナーは設計の過程で多角度からプロジェクトを見据えるので、新しい意見に対してもより柔軟です。
制作するホームページの特徴も加味したうえで、プロジェクトをデザイナー主導で進行する選択肢も検討すべきでしょう。
マルチで活躍するデザイナーの条件とは?エニィが重宝される理由
デザインがビジネスにおいて重要な役割を担っているだけに、デザイナーの活躍の場もより広がりを見せています。
しかし、単にデザイナー職であるだけで重宝されるというわけではありません。
マルチな活躍を見せているデザイナーに各方面から仕事が舞い込むのには多くの理由があるのです。
引く手あまたのデザイナーの特徴について紹介します。
特徴1:多様性に理解がある
デザイナーに求められるのは、自分の好みを反映させたモノ作りではありません。
ユーザー視点を持ち、クライアントからの要望を的確にデザインに反映させることが、デザイナーとしての本質だと言えるでしょう。
そのため、必須となる素養としては多様性への理解が挙げられます。顧客特性によって制作すべきデザインは異なるため、選り好みをしていられません。
多様性を受け入れ、いかにニーズを満たしたデザインを打ち出せるかが、デザイナーとしての価値を発揮できるかどうかの岐路となるのです。
特徴2:技術面に優れている
WEBサイト制作において表立って設計を担うデザイナーと、開発環境など裏側の対応をするエンジニアは何かと意見が対立しがちな傾向にあります。
そのため、デザイナーに技術面の理解があると他業種間の軋轢も少なくなり、意思疎通がよりスムーズになるでしょう。
エンジニアと対立するのではなく、建設的な意見交換ができることでプロジェクトの完成度が高まることが期待できます。
技術面に優れたデザイナーは両軸の観点で物事を捉えることができる点は大きな強みです。
特徴3:営業力を備えている
デザイナーは営業が受注した案件の制作業務が基本です。
しかし、販促・制作と立場を二分するのではなく、デザインの知識に欠けている営業をデザイナーがサポートできると理想的だと言えます。
デザイナーが営業補佐として窓口対応をしたり、アップセル提案をしたりするケースも珍しくありません。
その際に豊富な知識を備え、きちんと顧客にベネフィットをプレゼンできるデザイナーであれば、より高額な受注も狙えます。デザイナーにおいても営業力は重要な素養です。
【Pick Up!! エニィのデザイナーは3要素を備えた頼もしいパートナー】
エニィのデザイナーは、上記で紹介したマルチで活躍する3要素を備えているため、安心して相談ができる頼もしいパートナーだと言えます。デザイン的な考慮やアプローチ提案、コーチング、ソースコードだけで判断するのではなくて、大きな視点で相談できる点が強みです。 顧客視点に立った「ディテールへのこだわり」、コーダー目線からの「開発提案」、事業継続性の観点からの「提案意見」など、多様性・技術面・営業力の3要素を踏まえてデザインを対応します。クライアントの信頼を勝ち取るために労を惜しまない対応を心がけています。
デザイナーがフルコミットできる領域とは
プロジェクトを円滑に進めるうえで、優秀なデザイナーの存在はビジネス設計の力や事業アクションにおける明瞭さにおいて大きな違いとなります。
プロジェクトに優秀なデザイナーが参加することによって、単にキレイで見栄えの良いデザインを作成するだけでなく、プロジェクトのリーダー格としての活躍が期待できるでしょう。
ユーザービリティや顧客視点、企業価値向上などの面に大きく貢献し、フルコミットできるデザイナーは以下の手法を取り入れています。
プロジェクトにおいてデザイナーが取り入れる手法
・手法1:参加型アクション・リサーチ(PAR)
Participatory Action Researchの略であり、あるコミュニティなどに参加するなど当事者と一緒になって問題解決に取り組む手法です。
・手法2:参加型デザイン
エンドユーザーやプロジェクトのステークホルダー、外部の専門家などを巻き込みデザインのプロセスに参加してもらうことで、方向性を検討するアプローチです。
・手法3:高速反復テスト評価手法(RITE)
Rapid Iterative Testing and Evaluationの略であり、サイクルが短い状況下でテストと評価を行うことで課題を解決する手法です。
・手法4:マインドマップ
イギリス人教育者のトニー・ブザンが提唱した思考の表現手法。思考の流れや情報を視覚化することで記憶の整理や発想をしやすくします。
・手法5:プロトタイピング
設計の早い段階から実際に稼働するモデル(プロトタイプ)を作り、その検証と再制作を繰り返す開発手法です。機能やアイディアを早めに形にすることでユーザーからのフィードバックを得ることもあります。
・手法6:テーマ・ネットワーク図
基本テーマ、分類別テーマ、全体テーマという3階層構成のテーマから共通項を絞り込む手法です。集めた情報から主たるテーマを導き出します。
プロジェクト成功の一要素はデザイナーの技量にあり
デザイナー自身が自分の考えに凝り固まることなく多様性を受け入れ、さらには営業やエンジニアの気持ちを汲むことができれば、プロジェクトチームを牽引する存在となることも夢ではないでしょう。
成功の一要素としてデザイナー技量が挙げられるだけに、プロジェクトの進行が思わしくない場合は信頼ができてマルチな対応ができるデザイナーをアサインすることをおすすめします。