私たちは、補助金を活用される事業者の協力会社として、Web制作のご支援を続けてまいりました。
今回この記事を書くことに至ったのは、「補助金を活用したプロジェクトは炎上しやすい」という傾向が強かったからです。
補助金コンサルティング会社として日々事業者のご支援をされている皆様におかれましても、補助金制度への誤った考え方をお持ちの事業者と関わるのはリスクがあると考えられていることかと思います。
補助金制度への誤った考え方が引き起こす結果
私たちも、補助金を活用するプロジェクトにおいて、クライアントや補助金コンサルティング業者のお困りの声をよく頂いてきました。
補助金コンサルティング会社から頂く声
- ①経営者が申請段階で材料(書類)を出してこない
- ②経営者が事業計画書を書けない。書いたとしても非現実的なように思える
- ③協力会社が補助金が使えるという理由で見積もりを水増ししている
補助金活用事業者から頂く声
- ①補助金採択後の実行が申請内容と異なり、トラブルになる
- ②採択前は協力的だったのに、採択後は協力会社の対応が冷たくなった。
この他にも小さないざこざや、トラブルが起きているのを見たり、クライアントの状況が目に余る場合は、私たちにできることであればお手伝いしたりもしています。
しかし、新規でご相談頂くクライアントも同じお悩みを同程度抱えられております。
これは世の中全体に蔓延している問題です。
補助金は本来、事業の目的を達成するための支援であるのに、逆に補助金により事業が苦しめられている。
この現状は早急に変えなければいけません。そのためには、補助金活用に関わる全ての方が、補助金制度に対してもっと誠実であるべきだと私たちは考えます。
負のスパイラルのケース
1つ 、負のスパイラルのケースになる可能性が高い状態をご紹介します。
代表は、国内と海外に工場を3つ持っていて、大手メーカーとも取引のある方でした。1代で12億ほどの年商をつくり、優秀な職人も所属していました。経理やバックオフィスは家族も手伝いながら、ワンマン経営を支えていました。
どこからか補助金の申請代行の話が飛び込み、高額なコンサルティング成功報酬の約束をしてしまいました。社内の工数は割かずに、また手出しもなしで、申請できるように裏金の捻出方法まで教えてくれるようです。
嘘と本当が降り混ざった補助金は見事に採択され、実行時には、多くの業務委託が関わるプロジェクトになりました。高額な成功報酬を請求した後、コンサルは顔を見せなくなります。
社内工数はなるべく割かず、対話もなかった事業計画に、付け焼刃的に作ったチームでは、刃が立たず、なかなかプロジェクトは終わりません。終わったら終わったで、バックオフィスチームには報告業務があります。
本来の業務ではないし、家族総出で手伝ってもなかなか終わらず、エビデンスが出せない協力者たち、代表自ら動かなくては、収束しなくなっていきます。
やっと報告が終わり、プロジェクトが落ち着いたところで、この会社の中には何が残ったでしょうか?何も残らないだけならまだマシかも知れません。
この会社組織は、焼け野原状態で、スタッフも疲弊し、新しいことはできなくなっていました。プロジェクトの成功体験ではなく、傷ついたコア・ベースと従業員と家族の関係、さらには銀行が融資をしていたからと金利を取り立て、雰囲気が悪くなり、人間関係も悪化していきます。もう家族は一緒に食事を摂ることもままならなくなります。
そんな大変な状況の時には、またコンサルが現れ、また甘い言葉で、穴埋めのための違う補助金の話をするでしょう。でも、よく考えてみてください。
補助金や助成金、給付金の目的は、国や自治体が政策や事業を進めるため、またそれらの周知や取り組み促進のため、特定の産業の育成のため、地方創生のためなど、さまざまな目的を達成するために、企業の事業サポートとしての意味で支給されます。
負のスパイラルは、経営者や意思決定のできる人が創り出している現象でしかありません。
気持ちの問題ではなく、合理的な決断をして、ビジネスが成長できるように、効果的に補助金を活用しましょう。
使命のある自分の事業を自分と向き合わずに、ものごとと対立し、妥協してしまった時、顕在化します。
補助金活用に対するエニィの考え方
以下に弊社の補助金活用に対する3つの考え方を紹介します。
- ①補助金は手段である
- ②補助金に依存するべきではない
- ③補助金は正しく最大限活用する
この基本的な考え方をプロジェクトに関わる全員が持って、補助金制度に対して向き合うことができれば、健康なプロジェクトが作れるのではないかと考えております。
補助金は、手段であるため、それにより事業の方向性を決めるべきではないし、補助金が出ようが出まいが事業の目的達成に向けて仕事をするべきです。それでいて、使える補助金があれば、正しく最大限活用する。
補助金は、事業者が社会全体の健全な経済活動を促進するために活用されるべきです。
正のスパイラルのケース
今度は、正のスパイラルのケースについてもご紹介します。
経営者は医師で、10年以上、自分の医療事業に真摯に取り組みをしてきました。過度な広告もせず、地域貢献をして、患者様だけでなく治療から帰った後の家族のことまで考えた治療計画を親身に話すことに喜びを感じる方でした。
現代社会の医療の形ではなく、新しい形の事業を持ちたい、もっと多くの方の助けになりたい。そういった想いから補助金ではなく、銀行から融資を受けて、地域のために新規事業を立ち上げようとしていました。
ここで補助金のコンサルタントから話をもらい、初期費用なしの成功報酬のみで、そこまで高くない金額を提示されました。補助金が受けられれば、この事業の2/3のコストが別のことに活用することが出来、安定した事業と周囲との関係値をもっと丁寧に考えることができると考え、申請代行を依頼しました。
期日が迫っていたため、10年後の事業計画については、盛り込みできませんでしたが、元々やりたかった事業だったため、期日までに提出しまとめることが出来ました。
結果は不採択。ですが、初期費用をもらっていなかったために、この補助金のコンサルタントは、もう少しお話を詰めて、次回の応募まで、10年後の事業計画を書き込んでいきましょうと提案してくれました。
多くのコンサルタントが初期費用を10万〜20万とっている中で、何度失敗しても、立ち上がり、本当にやりたかった事業が、社内外の皆に、応援してもらいながらできる体制も一緒に作っていくことが出来ました。
次の補助金は、見事採択されました。
協力体制が出来たなかで、組織が同じ方向を見たプロジェクトが進み、事業が正常に進んでいくことが出来ました。外部の方も理念に共感し、協力的で、エビデンスを多く出してくれたため、報告書もスムーズに出すことが出来ました。
補助金の意向も組んだ形の支援は、社会全体が快方に向かい、この組織や経営陣の存在自体が、明るい希望を与えてくれるビジョンになっているようでした。後は、価値の原資を多くの方に届けていく事業フェーズに移り、自然な正のフィードバックが循環することでしょう。
伝えたいこと
エニィは、ただ案件が増えれば良いという考え方ではなく、良い事業スパイラルに向かうための支援をしております。
事業再構築補助金等は特に、事業の本筋と別に新しい事業を構築していくというその性質から、悪い事業スパイラルになるリスクを多く孕んでおり、作って終わりではありません。
むしろ、そこが経営のスタート地点であり、経営者も従業員も顧客も、またその関係者、ご家族も全員が登場人物になるストーリーのはじまりです。
この物語を、良いものにするのも悪いものにするのも、経営者、株主、コンサルタントや、プロジェクトマネージャー、プロダクトマネージャーなど、大事な決断をできるステークホルダーの意志に関わってきます。
補助金、助成金、給付金は経営者を支える大きな力になります。誤った力の使い方は、トラブルを招いたり、リスク要因を増やす事になります。
私達と一緒に、社会に良いスパイラルを増やしていく活動をしませんか?
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