Web制作過程で「ビジュアルデザイン」という言葉を耳にする機会はかなり多いのではないでしょうか。

ビジュアルデザインと聞いてパッとイメージできるWeb制作担当者もいれば、「グラフィックデザインとの違いはどこにあるのか」や「アートとはどう違うのか」といった疑問を持っているWeb制作担当者もいることでしょう。

事実、ビジュアルデザインとグラフィックデザインは使用される場が異なっており、またアートが達成したい目的も2つのデザインとは異なります。

それぞれの違いを認識できていないWeb制作担当者は、この機会に「ビジュアルデザインの基本」と「ビジュアルデザインに必要なポイント」を確認しておきましょう。

ビジュアルデザインとグラフィックデザインの違い

Web制作現場でよく使用されるのがビジュアルデザイン(視覚伝達デザイン)という言葉です。

ビジュアルデザインにはコンピューターグラフィックや映像などがあり、それらのデザインを使って情報を伝えることをいいます。

またグラフィックデザインは、フライヤーやチラシといった印刷物に使用される文字や画像・配色を指す言葉であり、一般的には平面上に情報やメッセージを表示するデザインに用いられます。

したがって、ビジュアルデザインの方がグラフィックデザインよりも幅広いデザインを指す言葉であるということが分かります。

しかし「2つとも同じデザインであるにも関わらず、なぜWebサイトではビジュアルデザインが好まれるのか」について、気になっているWeb制作担当者も多いのではないでしょうか。

そこには理由があるのです。

Webサイトにおけるビジュアルデザインの役割

Webサイトにおいてビジュアルデザインが好まれるのは、「UI」や「UX」の考え方がデザインによって左右されるためです。

UIとはユーザーインターフェイスの略称であり、ユーザーがWebサイト上で目にするすべての接点のことを指します。

したがって、WebサイトにおけるデザインはすべてUIの対象となります。

またUXはユーザーエクスペリエンスの略称であり、ユーザー体験のことを意味します。

Webサイトに訪れたユーザーがどのような体験をし、「どのような感情を抱くのか」などがUXが対象としている部分です。

つまり、Webサイトにおけるビジュアルデザインの役割は、快適なUX(ユーザー体験)を実現するためのUI(ユーザーとの接点)の設計ということになります。

文字や画像といったグラフィックデザインよりも、コンピューターグラフィックや映像コンテンツの方がUX(ユーザー体験)を良いものにするとして注目を集めているのです。

とはいえ、すべてのビジュアルデザインがUX(ユーザー体験)を良い方向へと変えていくとは限りません。

ポイントはしっかりとターゲットユーザーが誰であるのかを定め、Webサイト制作の目的を確認するところにあります。

場合によっては、動画コンテンツよりも動きの少ない文字や画像の方がコンバージョン率を高めることもあるでしょう。

良い第一印象はビジュアルデザインから

Webサイト制作の目的を改めて振り返ってみると、ある商品やサービスのコンバージョン率上昇であったり、事業サービスの認知向上を目指すものであったりします。

その上で、UX(ユーザー体験)とビジュアルデザインの関係について掘り下げてみると、ビジュアルデザインが必ずしもコンバージョン率を上げる保証はありませんが、コンバージョンに至る機会を増やす役割は持っていることが分かります。

それはユーザーがWebサイトの第一印象を文章といった情報からでなく、デザインから感じることがあるためです。

あるWebサイトに訪れたユーザーが「心地良い」と感じる配色・デザインになっているかどうかによって、ユーザーのWebサイト離脱率は変化します。

ビジュアルデザインは直接的なコンバージョンに結びつかない場合でも、コンバージョン率向上のための役割を果たしているのです。

ビジュアルデザインの基本

ビジュアルデザインには基本原則となる要素がいくつか存在しています。

その要素について知っておきましょう。

線と色

すべてのデザインは点と点を結んだ線(ライン)、そして現れる輪郭(シェイプ)の組み合わせによって形作られます。

そこに色を追加することで、デザインに情報(メッセージ)を持たせることができるのです。

もちろんこれだけではデザインとして足りませんが、様々なデザインの基礎をなす要素といえます。

タイポグラフィと余白

タイポグラフィは活字(書体)を用いて、文字を適切に配置することでデザインをより良く見せる技法です。

また余白(スペース)もデザインには重要な要素となります。

タイポグラフィを考えると同時に、余白の役割を確認しながらデザインを整えていきましょう。

バランス・コントラスト・スケール

デザインに含まれる文章には強調したいポイントとそれを引き立たせる部分とがあり、それぞれの文字のバランスや色のコントラスト、スケール(大きさ)を変更することでリズムを生むことができます。

アライメントとフレーミング

デザインを構成する各要素をアライメント(整列)を意味する工程で整えていきます。文字などが不自然な並びをしていないかなど、Web上で見られることを念頭に作成します。

フレーミングではデザインの持つ効果やメッセージをより高めるため、別の要素を追加するなどして1つのデザインに仕上げていきます。

この工程で選択する写真やイラストによってデザインの持つ雰囲気はグッと変わります。

テクスチャーとパターン

仕上がったデザインに質感を与える際にテクスチャーやパターンを使用します。

色やスケールによってデザインにはある程度の奥行きができますが、テクスチャーの効果でさらに強弱を付けることも可能です。

フレーミングの段階でデザインが完成する場合もあるため、必須のデザイン工程ではないと紹介するWebサイトもあります。

ビジュアルコンセプト

制作したデザインが他のデザインと異なる点や、どういった意味が込められているかなどの「デザインの背景」にあるものです。

アイデアがデザインとして表現される背後にはビジュアルコンセプトの存在が欠かせません。

ビジュアルデザインに必要な考え方

上で挙げたビジュアルデザインの基本とは別に必要な考え方として、「注目点」や「ヒエラルキー」というものがあります。

これはデザインにおける優位性を意味するもので、画像やテキストといったデザイン内のバランスを考え、意図的に目立たせる工夫などを行うことを指します。

また、「デザインの目的に合った感情を生み出す」という考え方も重要です。

ビジュアルデザインにおいて多様な解釈が可能なデザインは思わぬ結果を招く引き金となります。

ビジュアルデザインはアートではない

WebサイトにおけるビジュアルデザインにはUIやUXを考えた設計が必要不可欠です。

また多様な解釈を生まない正確なシンプルなデザインも時として求められます。

ビジュアルデザインはアートではないことを覚えておきましょう。

(画像はPixabayより)

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この記事を書いた人

代表取締役 Maki Aman

デザイナー、エンジニア、マーケターの経験を活かし、経営戦略からWEB企画(制作・開発・広告) までを幅広く担当。企業コーポレートサイト、ロゴデザイン、ブランディング、開発ディレクション、アニメーションなど現場でのデザインと実装など対応領域は多岐にわたる。新規事業立ち上げやコンサルティングの経験も豊富。3児の母。 15 年間、さまざまな企業のサービス起ち上げ、ブランディング活動に携わってきました。さまざまな立場や環境によって人の目線は変わるものですが、どのような角度から見たときにも、企業の明るいビジョンが描ける立体的な活動がしたいと思っています。 透きとおった心で、明るい未来を描き、美しい世の中をデザインするために活動中。 ・オルタナグリーンオーシャン大賞受賞 ・DXからXRの世界へMinimumVariableProduct(著書)