ムダをなくしニーズをつかめ! MVP を活用したプロダクト(製品) 開発とは

IT技術が飛躍的に発展し製品開発に様々なツールが提供され、新たな仕事の仕方が模索されています。
国の施策としても経済産業省が推進している、DX(デジタルトランスフォーメーション)による経営戦略や体制整備が急務となっています。デジタル化が進歩することによって消費者に新たなニーズが誕生し、ビジネスや仕事の仕方も変わろうとしています。
しかし、「アイディアはあるけど、プロダクト開発がうまくいかない」と悩んでいる方もいるでしょう。
そこで今回は、今後のプロダクト開発における課題や効率的なプロダクト開発をご紹介します。また、有効なプロダクト開発手法であるMVP(Minimum Viable Product)についても触れていきます。
目次
プロダクト開発のプロセス
これまでプロダクト開発のプロセスは、大きく分類して以下のような5つのプロセスで行われていました。
- 市場調査
- 製品企画
- 開発、設計
- 試作、評価
- 製造、販売
従来型のプロダクト開発では製品が販売され、ユーザーが使うことではじめて製品の評価が行なわれます。
評価が高かった製品は販売が拡大し、評価が低かった製品は縮小して消滅します。このような従来型のプロダクト開発では、供給側のリスクが高く、長年製品開発を行なっている企業にとっては当たり前のプロセスでしたが、新規に参入しようとする企業にとっては死活問題となります。
消費者のニーズの多様化やDXといったIT技術の推進などによって、プロダクト開発に新たなプロセスが模索されています。新たなプロセスでは、よりムダのない効率的なプロダクト開発が求められています。
プロダクト開発で発生する課題
プロダクト開発で発生する課題プロダクト開発を行なううえでは、次の2つの課題があります。
リードタイム(開発期間)の短縮
従来型のプロダクト開発のプロセスでは、開発のリードタイムが消費者のニーズに追いついていないという課題があります。消費者が欲しいと思ったときに、欲しいと思う製品を提供しなければなりません。
しかし近年では、他社製品と差別化を図るために、多機能で高性能な製品を開発しようとしています。
そのため、開発期間がどんどん長くなる傾向があります。
消費者が魅力的と思う機能であれば、多少のリードタイムがかかっても消費者は待ってくれるかもしれませんが、そうでない場合は似た機能の他社製品を購入する可能性があります。プロダクト開発の遅れが、ビジネスチャンスを逃しているのです。
つまりプロダクト開発ではスピード感をもって進めることを意識する必要性があります。
消費者ニーズの早期把握
プロダクト開発が、消費者にとってどの程度のニーズがあるかを早期に検証する必要があります。新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックにより、社会の状況は一変しました。消費者のニーズについても、旅行や外食などの業種については壊滅的な打撃を受けています。
一方で、在宅ワーク関連製品やゲーム機などの巣ごもり製品については、次々と新製品が販売されています。このような消費者ニーズに追従した、プロダクト開発が必要です。
プロダクト開発は、消費者ニーズをとらえることが重要です。消費者のニーズが明らかになってからプロダクト開発をはじめているようでは、製品ができたころには、消費者のニーズが変わっていることがあります。
そのため、従来型のプロセスで一気に製品を仕上げようとすると、製品に不具合が発生することがあったり、品質問題あったりする可能性があります。
リソースの確保とコスト削除
金銭面や人材面など、リソースにゆとりがある企業であれば、開発にどれだけコストが発生しようと特に問題視されることはないでしょう。
しかし現実では多くの企業では、できるだけのリソースを確保し、かつコストを最小限に抑えることが、開発の肝となるといっても過言ではありません。
社内にいる人材のスキルが足らない場合、社内で勉強会を開催しスキルを高めるという方法もあります。しかし、それでは開発スピードが低下し、時間的・人材的コストがさらに重なることにつながるかもしれません。
そこで勉強会を開催するより、専門知識をもった外部の人材を開発に参加させるほうが安くすむのであれば、外部の人材に依頼することが、リソースの確保とコストの削減の実現になるでしょう。
このように、リソース確保とコスト削減は全体のバランスをみて実現させていかなければならないのにも関わらず、どちらかを優先させてしまうことは、開発のスピードの低下や中断を招くことになります。
MVPによるプロダクト開発とは
これらプロダクト開発の課題を解決する方法の一つに、MVPという方法があります。
MVPとは
MVPとは、プロダクト開発の内容について仮説を立て、コストをかけずに短期間で仮説の検証を行うことです。仮説を検証することで、消費者ニーズと開発内容に大きなズレが発生していないか確認します。
仮説の検証が正しければ、プロダクト開発は効率よく行うことができます。そして、仮説の検証結果に問題があった場合は、仮説を修正することで、プロダクト開発におけるムダを最小限におさえ、市場のニーズを省くることができます。
MVPによるプロダクト開発について
プロダクト開発を効率よく行うためには、プロセス上のムダな時間を排除し、仮説・検証する必要があります。
しかしプロダクト開発においては、消費者がAという機能を重視するか、Bという機能を重視するかは、製品が完成して使ってもらってみないとわかりません。

- そこで、簡易的にAという機能とBという機能だけをもった製品を製作して、サンプルとして実際に使ってもらい評価します。
- Aという機能が重視されるという仮説、あるいはBという機能が重視されるという仮説を立てて検証を行います。検証の結果、どちらかの仮説に優位性があるかがわかります。
どちらの仮説も優位性がないという検証結果になることもあります。従来のプロセスでは、開発会議で
議論されていた判断を、実際の消費者に判断してもらうため、大きな間違いにはなりません。
また、機能は消費者ニーズにあっているが、使い勝手が悪いということもあります。そのような検証結果が得られた場合は、製品が完成する前に、操作性について設計の見直しを行うこともできます。
まとめ

MVPは、プロダクト開発にとってムダをなくし、失敗のリスクを減らす有効な方法です。しかし、全てのプロダクト開発で有効というわけではありません。
例えば、顧客が決まっていて、明確な仕様の提示がある場合は仮説を立てる必要はありません。顧客の仕様通りにプロダクト開発を行えばよいのです。また、高性能で高品質が求められる製品についても有効な方法ではありません。
決められた性能と品質が決まっているからです。
MVPは、コストをかけないからといって、仮説の検証を何度も行うと、総コストがかかりメリットがなくなってしまいます。開発する製品の分野によって上手に活用します。
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