【新規事業に欠かせない】リーン・スタートアップについて徹底解説

スタートアップの成功率を大きく高める「リーン・スタートアップ」という手法があるのを知っていますか?
2008年に提唱され、著書も出版されており、日本が世界に誇る大企業のトヨタにも深い関係のあるマネジメント手法です。
これからビジネスを行うタイミングにおいて重要な考え方のひとつですが、詳しくは知らないという方もいるでしょう。
そんな方に向けて今回は、リーン・スタートアップの定義やメリット・デメリットについて解説します。
リーン・スタートアップを上手く取り入れれば、ビジネスに活用できるはずです。
定義
リーン・スタートアップという言葉は、「リーン」と「スタートアップ」を組み合わせた言葉です。リーン・スタートアップを詳しく理解するために、それぞれの言葉の意味を把握しておきましょう。
リーンとは
リーン・スタートアップのリーンとは、アルファベット表記でleanと表記し「贅肉のない」「ムダのない」と訳されます。
ビジネスの観点からみると、製品やサービスの開発に生じる時間や費用のムダを省くといった意味合いとなります。

- このリーンの意味合いをビジネスで実際に行っているのがトヨタです。トヨタでは、ジャストインタイムや自動化などを取り入れたトヨタ生産方式を採用しています。この結果、より良い製品を提供する際に生じてしまう時間やコスト、人員などのムダを省くことに成功しています。
ベンチャーと何が違うのか
スタートアップと似た言葉で混同されがちなのが、ベンチャーです。どちらも創立して間もない企業といった意味合いで使われますが、明確な違いがあります。
スタートアップは、これまでにないビジネスモデルやイノベーションを世に出していく事業です。
これまでにないサービスや製品を軸に、短期間で急激な成長を目指し、エグジットを狙います。イノベーションが成功して市場に受け入れられるまでは収益性は低いのも特徴です。
これに対してベンチャーは、多くの場合、既存のビジネスモデルを活用して中長期的に課題解決に取り組みます。
スタートアップのように特別なエクジットを設けず、着実に収益を追い、創立初期から収益率が高いことも特徴です。
リーン・スタートアップは、マネジメント手法です。無駄をなくし、低コストで最低限の製品や機能をもったプロダクトを短期間でつくり、仮説検証を繰り返しながら顧客が満足する製品やサービスを開発していきます。
結局リーン・スタートアップとは
つまり「リーン・スタートアップ」とは、コストや時間などのムダを徹底的に省いた、サービスや製品を開発するための手法です。
新規事業を立ち上げる際には、ニーズのない製品やサービスに余分なコストや時間をかけてしまったり、サービスや製品が完成しきってから重大な問題がみつかってしまったりといった失敗が多くみられます。
現代は顧客のニーズも多様化しているため、リリース後に想定していたほど需要がないことに気づく場合もあります。
ITの分野では、市場に出してからサービスのセキュリティ面で重大な脆弱性がみつかりサービスを停止することも珍しくありません。
これまでにないビジネスモデルを市場に出していく際に、重大な損失に繋がらないようムダを省いていくという考え方がリーン・スタートアップです。
手法について
では、リーン・スタートアップとは一体どのような手法なのでしょうか。リーン・スタートアップの手法を理解することで、新しいアイディアをムダなく実際のビジネスとして事業化することが出来ます。
リーン・スタートアップの手法は以下の4つのステップから成り立っています。ひとつずつみていきましょう。
- 構築
- 計測
- 学習
- 再構築
構築
リーン・スタートアップを行うための最初のステップは、構築です。
顧客のニーズは何かという仮説を立てたり、革新的なビジネスモデルを生み出し、一度MVP(Minimum Viable Product)という必要最小限の要素のみをもったプロダクトを作成します。

リーン・スタートアップにおいて重要なポイントは、初期の段階でコストや時間をなるべくかけずに製品を開発してしまうという点です。
はじめから莫大なコストを投入して製品を作成したものの、需要がない、サービスとして機能しないといった際に発生するムダな費用を省くことが出来ます。
計測
仮説に基づいたMVPを作成したら、そのプロダクトが市場にどう捉えられるのか計測します。
イノベーター理論におけるアーリーアダプター(流行に敏感で新製品に対し好意的な人々)などを中心に顧客の反応をみましょう。
計測の段階では、この新規事業の核となる部分のみを試してもらえる様に余計な要素は盛り込まない様にすることがポイントです。
学習
計測の結果から、より市場に受け入れられるように改良することを、リーン・スタートアップでは学習といいます。
実際に顧客に試してもらうことで、開発段階ではみえなかった需要や現段階で足りない要素を追加することが出来ます。

ポイントは、顧客の意見を取り入れつつ、新しいビジネスモデルやこれまでにないイノベーション自体は変えないことです。
試行錯誤を繰り返すあまり、新規事業の核となる部分まで変えてしまっては、本来の目的からそれてしまいます。あくまで、有効性を確かめた上で、改良していくというスタンスを崩さないようにしましょう。
再構築
これまでの過程を経て、どうしても上手くいかないということが分かった場合には、1から再構築をしましょう。
はじめからやり直すとなると、遠回りでムダのように感じますが、出来る限り早い段階で行う再構築は、完成品を再構築する場合に比べて、大幅にムダを省くことが出来ます。
開発段階から1度も市場に出さず、不確実な要素が多いまま完成品を提供してしまうよりも、MVPの段階から顧客の声を取り入れ改良していく方が、スタートアップにおいて限りある資源を効率よく活用することが可能だという考え方です。
まとめ

新規事業の立ち上げや起業を行う際、ベンチャーから上場するまで成長した企業の場合においても、当初から想定した通りに事業化が進むケースはほとんどないといわれているのが現状です。
欧米などで成功している先進企業についても、その多くは、事業立ち上げ当初のプランが暗礁に乗り上げ、事業の路線を変更するpivot(ピボット)を余儀なくされるケースは多いといわれています。
しかし、このピボットは容易ではありません。方向転換ができないまま倒産に追い込まれることも当然あります。
リーン・スタートアップを活用したい方は、ぜひエニィとMVPで事業成長させましょう!
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