個々のこだわりを表すデザイン哲学が創造を生み出す

デザインと哲学との関連について

デザインへの驚きは、見た目に存在します。斬新で見たこともないような形や、とりたてて変わったところはないのに、なぜか心惹かれるフォルム。

けれどもデザインの本質は、世の中の具体物の本質を見極めて、概念を組み立て直して形に表現するところにあります。デザインには、哲学的な側面があるのです。

個々のこだわりを表すデザイン哲学は、そのこだわりを形に表すことで、新たな価値を生みます。デザイン哲学がなくてもデザインはできますが、創造はデザイン哲学から生み出されます。

デザイン哲学は、人によりさまざまです。

例えば製品デザインでは、「使いやすさを追求」「いらないものを排除」「人のような親しみやすさ」「固定概念を覆す」などです。それぞれのデザイン哲学が、それぞれの創造的なデザインを生み出しています。

細部へのこだわりが生み出したもの

独特のデザイン哲学で企業を大きく成長させたのは、Appleのスティーブ・ジョブズ氏です。 Appleのデザインは共通してデザイン性が高く、製品へのこだわりがあります。

スティーブ・ジョブズ氏が持っていたデザイン哲学のなかでも、細部へのこだわりは桁違いでした。例えば製品の裏側や、顧客には見えない製品の内部デザインにさえもこだわっていました。

さらに元Appleの最高デザイン責任者であるジョナサン・アイブ氏も、細部への強いこだわりを持つデザイナーです。ジョナサン・アイブ氏は大学生の時、大学の卒業展示用の作品「未来の電話機」のために、数百もの模型を制作しました。細部まで完璧なデザインを目指したのです。

スティーブ・ジョブズ氏とジョナサン・アイブ氏は、やがて最良のビジネスパートナーとなり、数々の製品が生み出されました。

また、Appleには企業のモットーとして「ユーザーへの理解と共感」があります。何を作るかではなく、なぜ作るかを考えて作ります。あくまでもユーザー目線で、ユーザーが使いやすいデザインにすることを目指したのです。

このようなデザイン哲学がAppleを企業として成長させ、Appleのファンを生み出したのは間違いありません。

日本のデザインの哲学とは?

日本のデザインは、目的や意味から「かたち」が作られています。「かたち」とは、日本の伝統的な概念で「美と機能美の融合」を表しています。

日本のデザイン哲学には、歴史の積み重なりや独特の文化的背景が存在しています。日本には伝統的な哲学文化があり、それが現代の最新のデザインにも、脈々と息づいているのです。そのような哲学の継承こそが、日本のデザインの特徴にもなっています。

哲学者で美術評論家でもある「柳 宗悦」は、書籍「工藝の道」のなかで、 「工芸は伝統を体現しており、現在でも作り続けることが重要だ」と述べています。

その後、「工芸」は新しい分野として認知され、日本のデザインの哲学的な継承へとつながっていきました。

80年代に世界中で支持される、ミニマルなデザイン様式が日本で生み出されましたが、これは禅と仏教にインスパイヤされた美意識に、基づいています。

日本のデザイン哲学の実例 パリ万博博覧会

1937年のパリ万博博覧会の「日本館」は、日本の伝統的な建築要素を引き継いで設計されていました。

余分な家具がない日本家屋のようなすっきりとした空間は、日本の伝統的な建築デザインの継承です。可動式の薄い壁、押し入れ、引き戸などの伝統と、モダニズムの理念を統合したものでした。

日本館はその独自性を評価され、パリ万博博覧会建築部門のグランプリを受賞しました。設計した坂倉準三氏は、その後日本へモダンムーブメントを持ち帰り、日本精神を織り交ぜて発展させました。

伊藤聡美氏のデザイン哲学 フィギュアスケート衣装

衣装デザイナー伊藤聡美氏は、羽生結弦氏、宇野昌磨氏、宮原知子氏、樋口新葉氏らトップスケーターの、フィギュアスケート衣装をデザインしています。

伊藤聡美氏の衣装は、ビジューの細工・翅の装飾などの加工や、染色や色合いが素晴らしいと定評があります。花びら1枚1枚染色した絶妙な色合いの衣装や、華やかなビジューの細工が散りばめられた衣装は、芸術性を感じさせます。

フィギュアスケートの衣装は、何よりも見た目が大切であるように思われますが、伊藤氏が大切にしているのはデザインのコンセプトです。

「選曲した振り付け師の意図は何か?」「どんな作品にしたいのか?」「作品で伝えたいことは何か?」などを、リサーチしながら考えていきます。「デザインとは、元来考える作業だ」という思いがあるためです。

決められた曲のなかでストーリーを作り込み、その後デザインに落とし込んでいくのです。伊藤氏の衣装には、デザイン哲学が満ちています。

人間と環境の関係をデザインで体現した列車

2017年にJR東日本で運行を開始した周遊型臨時列車「四季島」は、伝統的なデザインの車内から、日本の豊かな自然や四季を存分に楽しめるようにデザインされています。

畳敷きのスイートでは日本の伝統文化である畳を味わいながら、自然豊かな景色を楽しむことができ、樹林を連想させる壁のラウンジには、東日本各地の工芸品が調度として取り入れられています。

「四季島」のデザインは、「日本の哲学的な継承」と「環境との関係性」「最新鋭のハイテク」を、「かたち」に表したものと言えます。

無印良品のデザイン哲学

無印良品は独特な空間を持つ店舗や、シンプルながら完成されたデザイン、斬新なアイデアが評価されています。

無印良品のデザインをされているデザイナーの方々は、どのようなデザイン哲学を持っているのでしょうか。そのこだわりのデザイン哲学を、いくつかご紹介いたします。

「完成できないものは捨てる」
完成できなかったものは、すっぱりと捨てないと悪い部分が目立ってしまう。「ここがおかしい」と誰もが感じてしまうため、捨てることも必要です。

「いらないものを排除すると白くなる」
色を乗せる必然性がないときは、乗せない。いらないものを排除して、必要なものだけにして分かりやすくします。いらないものを排除していくと、白くなるんです。

「みんなで話し合っている」
無印良品はこれだというものがある訳ではなく、いつも何が無印良品かということを、常に議論しています。

(画像は写真ACより)

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